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離婚して財産をもらったら?(慰謝料と財産分与)

 贈与税や所得税がかかる場合があります。
贈与税や所得税がかかる
 

贈与税の問題

 近年、日本でも欧米なみに離婚が増えてきています。離婚の際に、慰謝料や財産分与という形でお金や物などの財産が支払われることが多いです。
 慰謝料とは、家庭内暴力、浮気などで離婚原因を作った方が、精神的苦痛などを受けた相手方に支払う損害賠償金です。損害賠償金は、贈与税の対象ではなく、所得税の対象になります。しかし、所得税法上、損害賠償金は非課税となり、相手方からもらっても原則として所得税がかからないことになっています(所法9@十六所令30)。
 一方、財産分与(民法768)は、離婚のときに夫婦の協力で築いてきた財産を2人で分け合うことをいいます。このように、財産分与はもともと2人の財産であったものを、単に分けることであるため、原則として贈与税はかかりません。
 つまり、慰謝料や財産分与は、原則として贈与税はかかりません。ただし、離婚による財産分与にも贈与税がかかる場合が2つあります(相基通9−8)。
 まず1つ目は、分与された財産が過大である場合です。財産分与が過大かどうかは、婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の価額など、夫婦間のすべての事情を考慮した上で判断されます。過大であると判断された場合は、その多すぎる部分に対して贈与税がかかることになります。
 2つ目は、離婚の目的が贈与税や相続税を逃れるためである判断された場合(いわゆる偽装離婚)にも、税金がかかってきます。ですから、財産分与が過大でないこと、また税金を逃れるための離婚ではないことを、証拠として残しておく必要があります。
 財産分与の証拠資料を残す方法は、時間と費用はかかりますが、家庭裁判所で離婚の調停をしてもらうとよいでしょう(「調停離婚」)。離婚の調停が成立すると、調停証書の正本というものをもらえ、証拠資料となります。
 また、離婚の約90%は「協議離婚」が占めるのですが、この場合、財産分与に関しては公証人役場で公正証書を作成して認証をうけ、証拠資料として残した方がよいでしょう。
 ちなみに、下記表は平成15年度の家庭裁判所で扱った財産分与の支払額を婚姻期間別に分類したものです。
 
(白枠内の数字は件数です)
婚姻
期間 
総数 100万
以下
200万
以下
400万
以下
600万
以下
1000万
以下
2000万
以下
2000万
総額が
決定
しない
総数 8604 2258 1299 1434 746 786 535 269 1277
6ケ月未満 46 25 7 6 4 1 0 0 3
6ケ月以上 132 66 37 13 8 4 0 1 3
1年以上 480 267 116 61 13 5 2 0 16
2年以上 517 256 105 79 29 8 7 1 32
3年以上 506 186 124 92 28 21 9 6 40
4年以上 514 191 95 82 39 30 11 1 65
5年以上 441 153 77 105 18 28 6 2 52
6年以上 425 120 85 82 42 30 12 3 51
7年以上 403 131 47 73 37 39 12 2 62
8年以上 383 100 66 91 37 19 11 5 54
9年以上 359 88 54 62 37 27 21 9 61
10年以上 334 67 51 72 27 36 18 5 58
11年以上 296 73 36 64 25 23 22 6 47
12年以上 270 58 34 45 40 17 18 5 53
13年以上 209 38 38 36 12 19 14 8 44
14年以上 256 48 36 45 28 26 24 11 38
15年以上 238 46 30 45 20 27 9 11 50
16年以上 213 43 18 26 17 31 17 5 56
17年以上 209 47 14 38 23 26 14 9 38
18年以上 178 31 28 31 11 21 10 9 37
19年以上 168 27 19 31 19 20 14 9 29
20年以上 771 101 90 109 84 110 78 50 149
25年以上 1254 95 92 146 148 217 206 111 239
不詳 2 1 0 0 0 1 0 0 0
 

所得税の問題

 財産分与として家をあげるなど、財産分与が土地や建物などで行われた場合、所得税がかかってしまう場合があります。離婚のときに土地や建物などを相手に渡すと、財産を渡した人に「譲渡所得」の課税(所得税)がされるのです(所法33)。
 「譲渡所得の」課税とは、土地や建物などを売ったことによって得た所得にかかる税金です。財産分与を土地や建物でした場合、その「モノ」をいったん売却して現金化し、現金を渡したと考えるからです。
 例をあげてみましょう。夫A夫と妻B子という夫婦が離婚をしました。A夫はB子の請求に応じ、財産分与として時価1000万円の土地をB子に渡しました。この土地はかつて、A夫が100万円で買った土地だとします。
 このとき、分与したときの土地や建物などの時価(通常、売買取引される金額)が、譲渡所得の収入金額となります(所基通33−1の4)。つまりここでは1000万円です。また、A夫は100万円で土地を取得していますから、取得価額は100万円です。ですから、A夫は収入金額1000万円、取得価額100万円で譲渡所得を計算し、課税されることになるのです。また、B子は、財産分与を受けた日に、その時の時価1000万円で土地を取得したことになります(所基通38−6)。したがって、将来にB子が、分与を受けた土地を売る場合には、財産分与を受けた日から売る日までの所有期間で、長期になるか短期になるかを判定することになります。
 ただし、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります(措法35)。これを、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」といいます。この特別控除を使えば、税金を軽減することができます。注意点としては、この制度は、売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄である場合は使うことができません。そのため、A夫とB子の離婚の際に、この特例を使いたいのであれば、夫婦関係ではなくなった離婚後にマイホーム(居住用財産)を分与する必要があります。
 
譲渡所得
 

   
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