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嫡出子と非嫡出子とは?

 嫡出子(ちゃくしゅつし) とは、法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子どものことをいいます。なお、嫡出子は「推定される嫡出子」と、「推定されない嫡出子」に分類できます。
 非嫡出子とは、法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものことをいいます。
 
嫡出子と非嫡出子  
 

推定される嫡出子

 推定される嫡出子は、次のようになっています(民法772)。
 @妻が婚姻中に懐胎(妊娠)した子供は、夫の子供と推定します。
 A婚姻の成立の日(婚姻の届出の日)から200日を経過後(200日目を含まない)、または、婚姻の解消や取消しの日から300日以内(300日目を含む)に生まれた子供は、婚姻中に懐胎(妊娠)したものと推定します。
 あくまでも推定ですので、必ずしも、夫の子供であるとは限りません。そのため、夫は、子供が嫡出であることを否認することもできます(民法774)。ただし、勝手に否認できるのではなく、子供または親権を行う母に対する嫡出否認の訴え、つまり裁判上の訴えによって行うことができるのです(民法775)。また、嫡出否認の訴えは、夫が子供の出生を知った時から一年以内に提起しなければなりません(民法777)。
 なお、親子の関係は、上述したような父子関係だけではなく、母子関係にもあります。ただし、母子関係の証明は懐胎(妊娠)という事実によって、確定することができます。
 
推定される嫡出子  
 

平成19年5月21日からの、婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱い

 離婚から300日以内に生まれた子は、原則として前夫の子として扱われることとなっています。しかし、平成19年5月21日から、婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いが、次のとおり変更されました。これは同年5月7日付の法務省民事局長通達によるものです。
 
1  「懐胎時期に関する証明書」が添付された出生の届出の取扱いについて
  ※ 「懐胎時期に関する証明書」…出生した子及びその母を特定する事項のほか,推定される懐胎の時期及びその時期を算出した根拠について診断を行った医師が記載した書面をいいます。
(1) 届出の受理について
 婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子について、「懐胎時期に関する証明書」が添付され、当該証明書の記載から、推定される懐胎の時期の最も早い日が婚姻の解消又は取消しの日より後の日である場合に限り、婚姻の解消又は取消し後に懐胎したと認められ、民法第772条の推定が及ばないものとして、母の嫡出でない子又は後婚の夫を父とする嫡出子出生届出が可能です。つまり、離婚後妊娠に限り300日以内でも前夫以外を親とする出生届が可能だということです。
(2) 戸籍の記載について
 (1)の届出が受理されると、子の身分事項欄には出生事項とともに「民法第772条の推定が及ばない」旨が記載されることになります。
 
2  「懐胎時期に関する証明書」が添付されていない出生の届出の取扱いについて
 従前のとおり、民法第772条の推定が及ぶものとして取り扱われることになります(前婚の夫を父とする嫡出子出生届でなければ受理されません)。
 
3  取扱いの開始について
(1) この取扱いは,平成19年5月21日以後に出生の届出がされたものについて実施されます。
(2) 既に婚姻の解消又は取消し時の夫の子として記載されている戸籍の訂正については、従前のとおり、裁判所の手続が必要です。
 

推定されない嫡出子

 「できちゃった結婚」のように、婚姻の成立の日(婚姻の届出の日)から200日以内に、生まれた子供は、「推定される嫡出子」となることができません(民法772)。ようするに、嫡出子ではあるけれども、夫の子供であるとの推定をされません。この場合、夫が自分の子供でないと思った場合、厳格な要件が要求される嫡出否認の訴えによらないで、親子関係不存在確認の訴えをすればよいことになっています。
 なお、嫡出否認の訴えの場合は、「夫(子供から見れば父親)」という限定された人が、かつ、「子供の出生を知った時から一年以内」という限定された期間でしかできませんが、親子関係不存在確認の訴えの場合はそのような縛りがありません。つまり、いつでも、誰からでも、訴えられる可能性があるということになります。そのため、相続時において、争いがあった場合に、「推定されない嫡出子」の人は、非常に危うい立場となるのです。
 

非嫡出子

 非嫡出子とは、法律上の婚姻関係がない男女の間に生まれた子どものことをいいます。嫡出でない子(非嫡出子)は、その父または母が認知することができます(民法779)。
 なお、認知されていれば、相続権がありますが、法定相続分は嫡出子の半分となります(民法900)。たとえば、被相続人に配偶者と嫡出子1人、非嫡出子1人がいる場合、法定相続分は配偶者が相続財産の1/2、嫡出子1/3、非嫡出子1/6となります。
 なお、認知がない場合、相続人になる資格がないため、相続権は認められません。

 
相続権 説明
実子(嫡出子) 実子は配偶者と同じで、常に相続権があります。
非嫡出子
(愛人など婚姻関係にない男女から生まれた子)
認知されていれば、相続権があります。ただし法定相続分は、嫡出子の半分です。
× 認知がない場合、相続権は認められません。
 

準正

 出生時に非嫡出であっても、その後父母が婚姻すると準正により嫡出子の身分を取得します。準正とは、非嫡出子が嫡出子の身分を取得することをいい、以下の2つの方法があります(民法789)。
 @父が認知した子供は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得します。
 A婚姻中、父母が認知した子供は、その認知の時(さかのぼって婚姻の時と解釈されている)から、嫡出子の身分を取得します。
 

非嫡出子の歴史

 昭和17年民法改正前までは、「非嫡出子」といわず、認知されているか否かで「私生子」、「庶子」と分類されていました。婚姻外の子供で、父親に認知されない子供を「私生子」といい、認知された子は「庶子」と民法上分類されていました。しかし、差別の原因になったため、「非嫡出子」に統一されたのです。
 
民法改正
 

   
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